運動
「運動は健康に良い」。この言葉は、多くの人が耳にしたことがあるでしょう。体力がつく、太りにくくなる、生活習慣病を予防できるなど、運動の健康効果は広く知られています。しかし実は、運動がもたらす恩恵はそれだけにとどまりません。近年の科学的研究によって、運動は“脳の働き”や“心の安定”、さらには“性格や考え方”にまで深く関係していることが明らかになってきました。
「なんとなく体に良さそうだから運動する」のではなく、「脳まで鍛えられる最高の習慣だからこそ運動する」。そう考え方を変えるだけで、運動へのモチベーションは大きく変わります。本記事では、科学的に、運動がもたらす最強のメリット3つをわかりやすく解説していきます。
まず結論からお伝えします。運動には、次のように驚くほど多くのメリットがあります。
この中でも特に重要なのが、「頭がよくなる」「集中力が上がる」「メンタルが安定する」という3つの効果です。ここからは、この3つについて詳しく見ていきましょう。

運動をすると、脳の中で「BDNF(脳由来神経栄養因子)」という物質が分泌されます。BDNFとは簡単にいうと、脳の栄養になる物質のことです。このBDNFが増えることで、次のような変化が起こります。
つまり、”運動をするほど脳は“物理的に鍛えられる”ということです。勉強を頑張るだけではなく、体を動かすことそのものが、脳の成長を直接後押ししてくれるのです。

集中力の向上には、長期的な効果と短期的な効果の2つがあります。
運動を習慣にすると、脳の前頭葉が鍛えられ、脳の血流が良くなります。前頭葉は、
といった、人間の「賢さ」や「意志の強さ」を司る非常に重要な部位です。運動を続けることで、この前頭葉の働きが高まり、基本的な集中力そのものが底上げされていきます。
運動直後に集中力が高まる理由は、主に2つあります。
1つ目は「血流の増加」です。運動によって血の巡りが良くなると、脳に十分な酸素と栄養が行き渡ります。脳は酸素をエネルギー源として働いているため、血流が良くなるだけで、思考は驚くほどクリアになります。
2つ目は「ドーパミンの分泌」です。ドーパミンは、やる気や集中力を高める脳内物質です。たとえ5~10分の軽い散歩でも、その後1時間ほど集中力が高まることが分かっています。

運動がメンタルに良い最大の理由は、自律神経が整うからです。自律神経とは、呼吸、体温調整、代謝などを、私たちの意思とは関係なく24時間自動でコントロールしている神経です。
自律神経には次の2種類があります。
この2つがうまく切り替わることで、人は「オン」と「オフ」を適切に使い分けることができます。メンタルが不安定な状態とは、この切り替えがスムーズにいかず、常に緊張状態になってしまっているケースが多いのです。
運動は、この自律神経の切り替えを自然に整えてくれます。その結果、感情の起伏が穏やかになり、ストレスに強くなり、心が安定していきます。
脳を鍛える目的で最も効果的なのは、有酸素運動です。有酸素運動とは、酸素をしっかり取り込みながら行う運動のことで、
などが代表例です。有酸素運動には、BDNFの増加、心肺機能の向上、脂肪燃焼といった効果があります。
一方、筋トレや短距離ダッシュのような無酸素運動には、筋力アップという強力なメリットがあります。理想的なのは、有酸素運動と無酸素運動をバランスよく取り入れることです。
なぜ運動は、ここまで私たちに良い影響を与えるのでしょうか。その答えは、人類の進化の歴史にあります。
人類の約250万年の歴史のうち、99%以上は狩猟採集の時代でした。人は本来、1日中歩き回り、走り回り、ときどき休むという生活に最適化された生き物です。ところが現代社会では、座りっぱなしの生活が当たり前になりました。
つまり、現代人は「動かなすぎる」のです。
運動をすることで、本来あるべき人間の状態に近づき、体も脳も自然と整っていくのです。

運動は「万能薬」とまで言われるほど、多くの恩恵をもたらします。この世に絶対はありませんが、”運動に関しては、ほとんどの人にとって“取り入れるべき最優先の習慣”だと言えるでしょう。
今日5分の散歩からでも構いません。小さな一歩が、あなたの脳と心、そして人生全体を大きく変えていくはずです。