食事
日本では40歳以上の男女の約3人に1人が、程度の差こそあれ「尿漏れ(尿失禁)」の悩みを抱えています。恥ずかしさから人に相談できず、長期間悩み続ける人も少なくありません。しかし、尿漏れは適切なケアや生活習慣によって改善が期待できる症状であり、その対策のひとつに「食事」があります。
本記事では、尿漏れ改善の一助となる食事法や避けたい食品、尿漏れが起こる仕組み、女性に多い理由などを医師の知見をもとにわかりやすく解説します。

尿漏れを「完全に食事だけで予防」することは難しいものの、食事を工夫することで症状の悪化を防いだり、改善を後押ししたりすることができます。まずは、基本となるポイントを見ていきましょう。

実は、水分摂取の仕方は尿漏れと密接に関わっています。水分を摂りすぎると膀胱に負担がかかり、逆に少なすぎると脱水や尿路結石のリスクが高まります。
夜間の尿漏れを減らすためには、以下のポイントを意識しましょう。
適切な飲水量を守りながら、上手に管理することが大切です。
水分調整が難しい場合は、かかりつけ医に相談し、適正量を確認しましょう。

「これを食べれば尿漏れが治る」という特効薬のような食品は存在しません。しかし、膀胱を刺激する食べ物を減らすことが結果的に尿漏れの予防につながります。
一部の人工甘味料は膀胱を刺激する可能性が指摘されています。ただし科学的根拠はまだ十分ではありません。また、人工甘味料は「糖尿病予防になる」と考える人も多いですが、最近ではそうとは言い切れないとされています。糖尿病になると多尿になり、尿漏れのリスクも高まります。
刺激物であるため膀胱を刺激する可能性があります。暑い時期にスタミナ食として適度に食べるのは問題ありませんが、過剰摂取は控えましょう。
炭酸の刺激によって誘発されることがあります。
利尿作用により多尿を招き、膀胱機能にも影響します。年齢とともに「適量」は減っていくため注意が必要です。
カフェインも膀胱刺激作用があるため、コーヒーやエナジードリンクの飲み過ぎには注意が必要です。

尿漏れが起きる背景には複数の原因が絡み合っています。
骨盤底筋は膀胱や尿道を支える重要な筋肉です。しかし、加齢や運動不足、出産などにより弱くなると尿漏れが起きやすくなります。
特に女性は、閉経前後に女性ホルモン(エストロゲン・プロゲステロン)が低下し、それに伴って骨盤底筋の働きが落ちるため、尿漏れリスクが上昇します。
便が直腸にたまることで膀胱が圧迫され、排尿機能が乱れます。また、排便時の「いきみ」は骨盤底筋を傷つけることがあり、悪影響を与えます。
脳・脊髄・末梢神経など、排尿を司る神経に異常が生じると尿意がうまく伝わらず、尿失禁を引き起こします。
感染症は頻尿や尿漏れの原因として非常に一般的です。症状がある場合は泌尿器科を受診しましょう。

尿漏れは男性よりも女性に圧倒的に多くみられます。その理由を大きく分けてみてみましょう。
妊娠や経腟分娩は骨盤底筋に大きな負担をかけ、筋力低下につながります。くしゃみや笑いで起こる「腹圧性尿失禁」が代表的です。
閉経に伴う女性ホルモンの低下は骨盤底筋の働きを弱めるだけでなく、膀胱の感度にも影響を与えます。
女性の尿道は男性より短いため、細菌が膀胱に入りやすく感染症が起こりやすい構造です。この感染症が尿漏れの引き金となることもあります。
子宮摘出などの手術が骨盤底筋や神経に影響し、尿失禁のリスクを高めることもあります。

尿漏れには主に次の4つの種類があり、それぞれ原因が異なります。
咳・くしゃみ・笑ったとき・重いものを持つときなど、腹圧がかかった瞬間に漏れる。
突然強い尿意が起こり、トイレに間に合わない。過活動膀胱が背景にある。
膀胱がいっぱいになっても尿意を感じず、溢れ出るように漏れる。前立腺肥大や神経障害が原因。
トイレまで移動できない、服を脱げないなど、身体機能の問題で起こる。
適切な治療や薬の選択はタイプによって大きく異なるため、自己判断せず泌尿器科を受診することが重要です。

上記に挙げてきた理由から、尿漏れの改善には、便秘や肥満の予防も大きな鍵になります。便秘や体重増加は骨盤底筋に負担をかけ、尿漏れ悪化の一因となるためです。
腸内環境を整え、便秘を防ぐことで膀胱への圧力を軽減できます。
1日1回以上、意識して取り入れましょう。
体重が増えると骨盤底筋に負担がかかり、尿漏れしやすくなります。体重増加を抑える食品を食生活に取り入れることがおすすめです。
もちろん、これらだけに頼るのではなく、バランスの良い食事が重要です。

尿漏れは多くの人が抱える悩みですが、食事や生活習慣を見直すことで予防・緩和が十分可能な症状です。
水分量の調整、膀胱を刺激する食品を控えること、食物繊維の摂取や体重管理など、日常生活の工夫が大きな効果を生みます。
また、尿漏れの裏には骨盤底筋の衰えや便秘、神経障害、感染症などさまざまな原因が潜んでいることもあります。気になる症状がある場合は、恥ずかしがらずに泌尿器科に相談することをおすすめします。
今日からできる小さな対策の積み重ねが、これからの暮らしの安心につながります。