食事
もしあなたやご家族が転倒し、足の骨や股関節の骨を折ってしまったとしたら――その後1年の間に、なんと 5人に1人が亡くなってしまうという厳しいデータが存在します。
医療者のあいだでは「骨折は命を縮める」というのは常識です。しかし、多くの方にとってこれはあまり知られていません。
とはいえ、恐れる必要はありません。骨は何歳からでも強くすることができます。
「骨折が心配…」「骨が弱い気がする…」と不安を抱えている方でも、正しい知識を身につけ、日々の食事や生活に少し工夫を加えることで、未来のリスクをしっかり減らすことができます。
本記事では、骨の健康に欠かせない カルシウム をテーマに、その重要性、効率よい摂取法、そして忙しい方のためのサプリメント選びまで丁寧に解説していきます。

カルシウムと聞くと、多くの人がまず「骨に良い」ことを思い浮かべるでしょう。さらに健康意識の高い方は「ビタミンDも大事」と知っているかもしれません。たしかにビタミンDはカルシウムの吸収を助け、骨を強くする働きをもつ重要な栄養素です。
しかし、ここに大きな落とし穴があります。
ビタミンDだけでは骨を守ることはできないという事実です。
アメリカで約25,000人を対象に行われた研究では、健康な中高年がビタミンDのサプリを飲んでも、骨折のリスクは減らなかったと報告されています。理由はとてもシンプルで、
そもそもカルシウムが不足していれば、ビタミンDがいくら頑張っても骨を作る材料が足りない。
つまり、主役はカルシウム、ビタミンDはあくまで“脇役”なのです。
さらにカルシウム不足は骨だけの問題ではありません。
カルシウムは「骨のための栄養素」ではなく、心と身体の健康を支える重要なミネラルなのです。

日本人の1日のカルシウム摂取量は平均 約500mg。
一方、国が推奨する摂取量は
つまり、毎日200mg前後不足していることになります。
この“200mgの隙間”を埋めることが、将来の骨折リスクを減らすための大きな鍵になります。
「もう歳だから今さら…」と思う方もいるかもしれませんが、それは誤解です。
骨には新陳代謝があり、壊れる一方ではなく新しい骨が作られ続けています。
つまり “骨の貯金” は何歳からでも可能なのです。

以下の項目に一つでも当てはまる場合、カルシウム不足や骨の弱りが疑われます。
ぜひ一度チェックしてみてください。

牛乳が苦手な方でも問題ありません。
日本人の食卓に馴染み深く、手軽で続けやすい カルシウム三銃士 を紹介します。
木綿豆腐は製造過程で「にがり(=カルシウム)」を含むため、絹ごし豆腐よりカルシウムが豊富。
1丁の1/3で約90mg と、カルシウムの不足分の半分近くを補えます。
おすすめは 木綿豆腐+きのこの味噌汁。
きのこはビタミンDが豊富で、カルシウムの吸収をさらに促進してくれます。
小松菜1皿(小鉢)で 約120mg のカルシウムを摂取可能。
ほうれん草と違いシュウ酸が少なく、吸収効率も高いのが特徴です。
おすすめは 小松菜の胡麻和え。
胡麻にもカルシウムが多く、さらに効率アップ。
しらす大さじ2杯で 約100mg のカルシウム。
さらにビタミンDも豊富で、まさに「万能カルシウム食材」。
おすすめは超簡単な しらす丼。
ご飯に乗せて醤油を垂らすだけ。卵黄をのせればビタミンDもプラス。

毎日しらすや小松菜ばかり食べるのは現実的ではありません。
そんな時に役立つのがサプリメントですが、選び方には注意が必要です。
たとえば、スティックタイプで水なしでも飲めるものは外出先でも便利です。
ただし、サプリは“補助食品”であり、
カルシウムを過剰摂取すると体に負担になることもあります。
薬を服用している方は、かかりつけ医に相談することをおすすめします。

カルシウム不足によるリスク、そして日本人に共通する200mgの不足を埋める方法。
木綿豆腐・小松菜・しらすという3つの“ちょい足し三銃士”。
そして忙しい日の補助としてのサプリメント。
すべてを一度に完璧に実践する必要はありません。
今日できることを1つだけでも始める。
それだけで将来のあなたの骨は、確実に強くなります。
新しく知った知識は、10年後のあなたを守る大きな力になります。
ぜひ、できることからゆっくり始めてみてください。