食事
私たちは誰しも、年齢を重ねるにつれて「将来、病気にならないだろうか」「健康で長生きできるだろうか」といった不安を抱くものです。心筋梗塞や脳卒中、がん、糖尿病といった生活習慣病は、ある日突然発症し、その後の人生を大きく左右することも少なくありません。
しかし、こうした病気の多くは、日々の食生活によって予防できる可能性が高いことが、世界中の研究によって明らかになっています。特別なサプリメントや高価な健康食品を取り入れなくても、毎日の「食べ方」を少し意識するだけで、将来のリスクを大きく下げることができるのです。
本記事では、科学的な研究結果に基づき、将来なったら怖い病気を防ぐために積極的に取り入れたい食べ物を3つご紹介します。
地中海食とは、イタリア、ギリシャ、スペインなど、地中海沿岸地域で古くから親しまれてきた伝統的な食事スタイルのことです。単なる「料理の種類」ではなく、食生活全体の考え方を指します。

地中海食の主な特徴は以下の通りです。
この食事法が注目される理由は、心血管疾患のリスクを大幅に下げる効果が確認されているからです。心筋梗塞や脳卒中といった疾患は、日本人の死亡原因としても常に上位を占めています。
フランス・リヨンで行われた有名な研究では、心筋梗塞を一度経験した患者を対象に、「従来通りの食事を続けるグループ」と「地中海食を中心とした食事を摂るグループ」に分け、5年間追跡調査を行いました。その結果、地中海食を実践したグループでは、生存率が明らかに高く、再発や死亡のリスクが大きく低下したのです。
さらに、心筋梗塞や脳卒中をまだ起こしていない人であっても、地中海食を取り入れることで、これらの発症リスクを約30%低減できることが示されています。毎日の食卓にオリーブオイルや魚、野菜を増やすことが、将来の命を守ることにつながると言えるでしょう。
健康のために「野菜や果物を食べましょう」とよく言われますが、その効果は想像以上に大きいものです。野菜と果物の摂取量が多いほど、心筋梗塞、脳卒中、がんなどによる死亡リスクが低下することが、複数の大規模研究で確認されています。

イギリスで行われた研究では、野菜と果物の摂取によって、世界中で数百万人規模の「早すぎる死」を防げる可能性があると報告されています。一般的には、1日400gの野菜・果物摂取が推奨されていますが、研究ではその2倍にあたる800gを摂取すると、予防効果が最大になることが分かりました。
約200万人を対象とした95本以上の研究を解析した結果、1日に800gの野菜・果物を摂取していた人では、
という、非常に大きなリスク低減が見られました。
もちろん、毎日800gを摂るのは難しいと感じる方も多いでしょう。しかし、安心してください。目標量に達していなくても効果は十分に得られます。
例えば、1日に200gの野菜・果物を摂取している場合でも、心疾患や脳卒中、早死のリスクが10%以上低下することが示されています。
まずは「毎食、何かしらの野菜や果物を加える」ことから始めるだけでも、将来の健康に大きな差が生まれます。
最後に紹介するのは、「茶色い食べ物」です。これは、全粒粉の穀物、玄米、ナッツ、豆類など、精製されていない植物性食品を指します。

これらを中心とした食事は、特に2型糖尿病の予防に強い効果を発揮します。アメリカでは、20万人以上の医療従事者を対象に、20年以上にわたる大規模な追跡調査が行われました。その結果、植物性食品を多く摂る食事をしていた人は、動物性食品中心の食事をしていた人に比べ、2型糖尿病の発症リスクが約20%低下していました。
さらに、健康的な植物性食品を積極的に摂っていた人では、糖尿病リスクが34%も低下した一方で、加工食品や精製炭水化物の多い不健康な食事をしていた人では、逆にリスクが16%増加していたのです。
注目すべき点は、動物性食品を25~33%減らし、その分を植物性食品に置き換えるだけでも、糖尿病リスクが下がるということです。無理に完全な菜食にする必要はなく、少しずつ置き換えるだけで十分な効果が期待できます。
植物性食品には、食物繊維、抗酸化物質、不飽和脂肪酸、マグネシウムなど、血糖値を安定させる栄養素が豊富に含まれています。また、腸内環境を整えることで、代謝や免疫機能の改善にもつながると考えられています。
将来の病気は、ある日突然やってくるように感じられますが、その多くは日々の小さな選択の積み重ねによって左右されます。地中海食を意識すること、野菜や果物を増やすこと、そして茶色い植物性食品を選ぶこと。これらはどれも、今日からすぐに始められることばかりです。

「何を食べるか」は、「どんな未来を生きるか」を選ぶことでもあります。ぜひ、毎日の食事を少しだけ見直し、将来の健康への投資を始めてみてはいかがでしょうか。