健康な人は食事と運動どっちを大事にしている?肥満や癌にならない人の生活習慣

運動

健康について考えるとき、「運動さえしていれば大丈夫」「いや、食事を整えることが一番重要だ」といった意見をよく耳にします。ジムに通い、ランニングや筋トレに励んでいる人も多い一方で、食事制限や栄養バランスを意識している人もいます。では実際に、肥満になりにくく、がんや心臓病といった重い病気のリスクが低い人は、食事と運動のどちらをより大切にしているのでしょうか。

結論から言えば、どちらか一方ではなく、食事と運動の両方をバランスよく取り入れているという点が、健康な人に共通する特徴です。ただし、順番としては「まず食事を整えること」が重要であることが、近年の研究によって明らかになっています。


運動だけでは健康は守れない理由

健康のために運動を始める人は多く、「運動しているから多少食生活が乱れても問題ない」と考えてしまいがちです。しかし、食事を改善しないまま運動量だけを増やす生活は、決して理想的とは言えません。

たとえば、筋肉をつけるためにプロテインやササミばかりを摂取し、野菜や果物、魚、食物繊維がほとんど不足している食生活を続けているケースがあります。一見すると健康的に見えるかもしれませんが、栄養の偏りは体に大きな負担をかけ、心臓病やがんといった重大な病気のリスクを下げることはできません。

運動は確かに重要ですが、体をつくる材料である食事が整っていなければ、健康効果は十分に発揮されないのです。


イギリスで報告された大規模研究の内容

この点を裏付けるのが、2022年にイギリスで報告された研究です。この研究では、多くの人の死亡記録とともに、身体活動量、食事内容、死亡原因などのデータを組み合わせて分析が行われました。

調査対象となった死亡原因は、以下の三つです。

  • あらゆる原因による全死亡
  • 心臓病や脳卒中などの心臓血管疾患による死亡
  • 大腸がんや子宮がんなど、肥満と関連が深いがんによる死亡

この研究の特徴は、「食事の質」と「運動習慣」を同時に評価し、それぞれが死亡リスクにどのような影響を与えているかを明確にした点にあります。


「質の良い食事」とはどのような食事か

研究では、「質の良い食事」が具体的に定義されています。その内容は次の通りです。

  • 野菜と果物を1日あたり約4.5カップ摂取している
  • 魚を週に2回以上食べている
  • ベーコンやソーセージなどの加工肉は週2回未満
  • 牛肉や豚肉などの赤肉は週5回未満

特に赤肉は、大腸がんのリスクを高める可能性があるとして、摂取量が多い場合は「質の低い食事」に分類されました。この定義から分かるように、極端な制限や特別な健康法ではなく、日常生活の中で実践可能なバランスの取れた食事が重視されています。


食事と運動の両方を行う人が最も健康的

研究の結果、最も死亡リスクが低かったのは、質の良い食事を摂り、なおかつ定期的に運動を行っている人でした。食事も運動も改善していない人と比べると、

  • 全死亡率が約17%低下
  • 心臓血管疾患による死亡が19%低下
  • 肥満関連のがんによる死亡リスクが27%低下

という非常に明確な差が示されています。これは、食事と運動が互いに補い合いながら、健康を支えていることを意味しています。


運動だけの改善では限界がある

一方で、食事を全く改善せず、運動だけを増やした人たちはどうだったのでしょうか。このグループでは、何もしない人よりは多少リスクが低いものの、大きな死亡率の低下は見られませんでした

つまり、「食事はそのままで、とにかく走る」「筋トレさえしていれば健康になれる」という考え方では、心臓病やがんといった深刻な病気を十分に防ぐことはできないのです。運動はあくまで、質の良い食事と組み合わさってこそ、本来の効果を発揮します。


食事改善だけで防げるリスクと、その限界

この研究では、全粒穀物や乳製品、油の質などは細かく評価されていませんでしたが、野菜や果物を多く摂る人は、自然とこうした点にも気を配っている可能性が高いと考えられます。

実際、食事内容を改善しただけでも、肥満関連のがんによる死亡率は最大で14%低下していました。このことから、食事の見直しはがん予防において非常に重要であると言えます。

しかし、運動を行っていない場合、全死亡率や心臓血管疾患のリスクは十分に下がっていませんでした。ここから分かるのは、食事だけでも、運動だけでも不十分だという事実です。


特別な方法よりも「習慣化」が健康をつくる

この研究が教えてくれる最大のポイントは、「特別な健康法」や「奇跡のような食品・飲料」は存在しない、ということです。健康な人が行っているのは、

  • 加工食品をできるだけ避ける
  • 食事全体の質を意識する
  • 野菜、果物、魚を日常的に摂る
  • 無理なく続けられる運動を生活の中に取り入れる

といった、ごく基本的な行動です。そして何より重要なのは、それを一時的ではなく、習慣として続けていることです。


食事と運動の両立が、将来の健康を守る

肥満になりにくく、がんや心臓病のリスクが低い人は、食事か運動のどちらか一方に偏ることはありません。
まず食事を整え、そのうえで継続できる運動を取り入れる。この両立こそが、健康への最短ルートです。

健康は短期間で手に入るものではなく、日々の小さな選択の積み重ねによって形づくられます。食事と運動の両方を大切にする生活習慣を身につけることが、将来の自分の体を守る最も確実な方法なのです。